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*革選び・3つのポイント*

【はじめに】

の善し悪しというものは「五感で感ずるもの」これに尽きると思います。千差万別、自分自身が「よい」と感じられるものであれば、それでよいのですが、曖昧な感覚だけで判断するよりも、ほんの少しの知識をプラスすることで、革に対する審美眼は格段にアップすると思います。

毎日を共にする革製品…革を嗜む、すなわち美しい革を「より美しい」と感じることは、日々の生活をよりいっそう充実したものへと変化させてくれることでしょう。

「革」と一言でいっても、動物の種類、鞣し方や月齢でも区別されるため、まさに多種多様です。実際、革の風合いが好きでも、動物の種類、色や模様いった外観以外の判断基準をもっている方は意外と少ないものです。その中でも牛革は食の副産物として、圧倒的なシェアを誇り、さまざな加工がなされ流通しています。当アトリエでは「革の本質」に目を向けた素材選びを心がけていますが、やはりシンプルな素材ほど奥深いものだと感じます。革に対するご理解を一層深めていただけるよう、これよりポイントを3つに絞って解説させていただきたいと思います。





<ポイント・その1>

革を製造する上で「見た目」に影響する要素の割合と、「善し悪し」に影響する要素の割合を図で比較すると次のような違いがあります。 ※ちなみに、原皮とは、動物から剥がした生の状態の皮のことです。この「皮」を鞣すことで、製品に加工できるよう変質しない状態に変えたものを「革」と表記します。読み方は同じですが、このような意味の違いがあります。



互いの図から「原皮の質」と「仕上げ方」が大きく入れ代わっている点にご注目ください。 実は、ここに革の本質が隠されています。図では分かりにくいという方には、一言で「外見よりも中身が大事」といえば分かりやすいでしょうか。要するに、革は鞣しの終盤に行われる仕上げで、粗隠しができるということです。この鞣しの終盤に行われる仕上げ行程にはさまざまなものがありますが、もっとも革の風合いに影響を及ぼすのは、着色や型押しによるものです。

着色行程では、大別すると顔料または染料により着色が行われますが、前者の方法を行った場合、表面から革の下地の状態を判別することが難しくなります。それだけでなく、革の特性である手触りや通気性も同時に損ないます。この方法は、リサイクルレザー(革粉を接着剤等により固めた素材)やスプリットレザー(吟面のない床革)の仕上げとしても使われることから、基になる原料をあまり選ばないため製造者にとっての利点があります。革の専門家が顔料を多く使った革を「厚化粧」と揶揄するのはこのためです。顔料仕上げは発色がよく、型押しは汚れや傷がつきにくいメリットもありますが、合成皮革のような本革では本末転倒ですね。



<ポイント・その2>

次は革の製造方法ともいえる「鞣し」について説明します。いわばここが革選びの分かれ道となるポイントです。鞣し方にはいくつかの種類がありますが、基本となるのはタンニン(植物)鞣し、クロム(鉱物)鞣しの2つです。シンプルにこの2つを押さえておけば大丈夫です。これはどんな物質を使って「皮」を「革」に変えるかということですが、その性質により、でき上がりの革の特徴が異なります。次の表でイメージをつかんでみてください。


*タンニン革*
 
*クロム革*
メリット
デメリット
メリット
デメリット
温かみ、 自然な美しさ 素朴な感じ 高級感がある 冷たい感じ
雰囲気があり革らしい 傷や汚れになりやすい 傷や汚れになりにくい 革としての表情が乏しい
染料仕上げが主 くすんだ発色になりがち 発色がよい 顔料仕上げが主
堅牢性が高い
重厚感がある
水や熱に弱く、変形しやすい 水や熱に強く、変形しにくい
弾力性がありしなやか
堅牢性が低い
エコロジー
鞣すのに時間がかかる
均一で安定した生産が困難
鞣す時間が少ない
均一で安定した生産が可能
焼却処分が困難
(有害物質が発生します)

両者を比べると、相反する特徴をもっていることがお分かりいただけるかと思います。両者の違いは、以下のような例えると理解しやすいかもしれません。

・タンニン革は、不揃いだけど大地の恵みを浴びた無農薬栽培の野菜
・クロム革は、流通に適した色つや形が均一な農薬栽培による果物

ちなみに、両者を野菜と果物に分けたのは、どちらが良い悪いという事ではなく、それぞれ別ものとして捉えていただきたいからです。現在流通している革製品の9割ほどにクロム革が使われていますが、近年では、自然で革らしいなタンニン革の良さも見直されています。



<ポイント・その3>

核心となる最終ポイントは、原皮についてです。この基となる原皮の質が革の質に大きく影響すると感じます。牛革原皮のシェアは、基本的に欧州産と欧米産に別れます。それぞれに食文化が異なり、育て方に違いがあります。当然ながらその差は素材に現れ製品にも影響します。当アトリエの主観としましては、この大原則が素材の質の差として現れるのではないかと感じています。日本のタンナーの革素材にも、期待を寄せていますが、日本で鞣される革はほぼ100%が欧米原皮を使用しているそうです。

「革の経年変化は愛着を育む」…当アトリエが素材にこだわる理由です。


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